市民有志が学会旗揚げ〜「神在餅」がなまって…出雲はぜんざい発祥の地

新聞掲載記事ぜんざいは出雲地方の「神在餅(じんざいもち)」に起因しているとして、出雲市民有志が「日本ぜんざい学会」を設立。10月31日を日本記念日協会の「出雲ぜんざいの日」に登録するなど、出雲をぜんざい発祥の地として盛り上げようと活動している。

出雲地方では旧暦10月を神在月と呼び、全国から神々が集まって神在祭の行事が執り行われている。この祭りで振舞われたのが神在餅で、この「じんざい」がなまって「ぜんざい」と言うようになったとの言い伝えがある。
ここに注目したのが、出雲ステーションホテルの田邊達也社長=同市今市町。地域を盛り上げたいと、「日本ぜんざい学会」を設立。会長として出雲観光協会や市民有志と協力しながらこれまで市内のイベントごとにぜんざいを振る舞ってきた。学会の正会員は今のところ田邊さん1人だが「すでに地域でぜんざいを使って活動している人たちもおり、連携しながら市民全体で盛り上げていければ」と熱い。

17世紀頃の林羅山の随筆「梅村載筆」や同時代の短編小説「祇園物語」、18世紀の出雲の地誌「霊陽誌」など複数の文献にも記述が見られる。「出雲国に神在もちいと申事あり。京にてぜんざいもちいと申ハ。これを申あやまるにや」(祇園物語)、「十月神在祭(中略)白餅を小豆に煮家ことに食これを神在餅といふ、出雲の国にはしまる、世間せんさい餅といふはあやまりなり」(霊陽誌)など、いずれも出雲の神在祭で小豆に白餅を入れた食べ物がふるまわれており、出雲が発祥としている。

文献研究に協力した県立古代出雲歴史博物館の品川知彦・専門学芸員は「ぜんざいの一つの起源として神在祭の伝承があるのは事実」と話す。出雲大社の門前町の同市大社町には現在も正月にぜんざいを食べる習慣があり、品川さんは「昔は小豆も餅もハレの日の食事だった。正月もハレの日で、神在祭のぜんざいの習慣が今も残るものと推測できる」とする。

6月中旬にはぜんざい学会の設立総会を開催。今後、ぜんざいグッズなども開発する予定。田邊さんは「多方面の人たちと協力しながら町の活性化につなげていければ」としている。

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